2020.10.01
グローバルサイト構築のポイント

企業の海外進出に応じて、グローバルサイトを開設する企業は少なくありません。ただし、本社サイトを多言語翻訳するのみでは、一貫した企業ブランドの訴求や地域の状況に的確に対応する運用は容易ではありません。グローバルサイトについての正しい理解と、構築の際に押さえるべきポイントや注意点をご紹介します。

グローバルサイトとは
グローバルサイトとは、特定の国や地域にこだわらず、全世界をひとつのマーケットとして捉え、共通した企業情報や製品情報、ビジョンなどを発信するサイトです。グローバルサイトと地域サイトは役割、ターゲットが異なります。
グローバルサイトの目的と役割
グローバルサイトの目的と役割は大きく以下の4点が考えられます。
- グループ企業へのハブ
グローバルサイトから特定の国や言語の地域サイトに中継 - グローバルなブランドの発信
全世界共通の自社の強みや、メッセージ、ビジョン等の理解を促進 - グループ企業全体の情報を集約
グループの情報を統括し全世界に発信する場として活用 - 現地法人との連携
現地法人の広報等のサポートやグループガバナンスの形成、グローバル人材の獲得など
グローバルサイト | 地域サイト | |
---|---|---|
構造 | ![]() |
![]() |
ターゲット | 全世界のステークホルダー | 対象国・地域のステークホルダー |
言語 | 基本的に英語 | ターゲットに適した言語 |
内容 | グループ全体の情報 | ローカライズされた情報 |
グローバルサイトのタイプとドメイン
グローバルサイトのタイプ
グローバルサイトは、機能と情報量によって3つのタイプに分けられます。ゲートウェイ型から、コーポレート型、メディア型へ情報量が増加する傾向があります。

世界・国内の主要企業におけるグローバルサイトのタイプ別内訳と事例については、こちらをご参照ください。
グローバルサイトのドメイン
国内主要企業のグローバルサイトは8割が「.com」を使用しています。一部にはgTLDの自由化により可能になった「.社名」ドメインを使用する例も見られます。
グローバル用と国内用のドメインは約半数が別のドメインを使用しています。
【「.社名」採用企業】
トヨタ自動車(https://global.toyota/)
本田技研工業(https://global.honda/)
ソフトバンクグループ(https://global.softbank/)
キヤノン(https://global.canon/)
ブラザー工業(https://global.brother/)
久光製薬(https://global.hisamitsu/)
【グローバル用と国内用のドメイン例】
共通ドメイン | 別ドメイン | |
---|---|---|
グローバル用 | ○○○○.com | △△△△.com |
国内用 | ○○○○.com/jp | △△△△.co.jp |

グローバルサイト制作・リニューアルのポイント
グローバルサイトのデザイン制作
- 企業の全体像とブランドイメージを反映
- 特定地域のユーザーの嗜好性に依存しないガイドラインを作成
- アイコンは一般的に利用されているか、全世界で内容的に関連性の高いデザインを利用
- 配色は世界共通の色が持つ意味に配慮

グローバルサイトのコンテンツ制作
- グローバルサイトと地域サイトのコンテンツ共有と整合性を検討
- 独自性のあるコンテンツは対象者の属性や地域性を考慮
- 地域によって異なる形式や文化、思想への配慮
- 言語(例:機械翻訳、和製英語)
- カレンダー(例:週の始まりが日曜日と月曜日の地域がある)
- 住所・郵便番号(例:番地、地名、市区町村、県名、郵便番号、国の順が一般的)
- 電話番号(例:国番号を先頭に、市外局番の先頭の(0) を省略 「+81-3-3123-4567」)
- 日付(例:月、日、年の順が一般的「September 2, 2020」)
- 時刻(例:12 時制と24 時制の地域がある)
- 通貨(例:米ドル-「USD」「US$」、オーストラリアドル-「AUD」「A$」、ユーロ-「EUR」「€」)
- 地図(ヨーロッパを中心に置く地図が主流)
- 地球儀(大西洋を中心に置く地球儀が一般的)
- 国土・国境線表示(国によって見解が異なる地域がある)
- 国旗(政治的、歴史的問題に配慮)
- 宗教(信者が反感や批判を抱く表現や少数の宗教の信者に配慮)
- 差別(性別、人種など多様性を重視)

グローバルサイトと地域サイトの回遊性
- グローバルサイトから地域サイトへの導線
- 地域サイト間のグローバルサイトを介した導線
- 地域や言語切り替えのリンクをサイトの分かりやすい位置に設定
- 製品カテゴリや製品名などのアルファベット順のリンク誘導を設置

グローバルサイト運用の課題とCMS
グローバルサイト運用の課題
- グローバルサイトの運用は本社での統轄が一般的
- 各現地法人などにサイト管理者を配置し、グローバルサイトと地域サイトを連携
- Webガバナンスを整備し、グローバルサイト運用のガイドラインを作成
- CMSを導入し、グローバルサイトの運用負荷を軽減
(サイト更新の承認、マルチデバイス対応など) - グローバルサイト向けと地域サイト向けのコンテンツを分けて運用
(地域の実情に合わせた対応) - グローバルサイトを巡回監視。不具合は確認・承認方法の見直しやガイドラインに反映
グローバルサイトとCMS
- 管理画面がグローバルサイトに対応したCMSを導入(多言語や共通コンテンツなど)
- 言語切り替えに対応したCMSを導入
- メディア型グローバルサイトなど、CMSを導入し情報更新の負荷を軽減
- CMSによって余ったリソースをグローバルサイトのコンセプト立案や満足度の高いコンテンツ作成に充当

グローバルサイトの注意点
対象地域のインターネット環境
- インターネットの通信速度は地域によって異なる
- Googleの調査では世界の70%が2020年まで3G回線
- スマートフォンとPCの利用比率は地域によって異なる
- 日本国内ではiPhoneのシェアが高いが、世界ではAndroidのシェアが8割を超える
グローバルサイトのSEO
- 検索エンジンのシェアは地域によって異なる
- Googleの検索結果は地域によって異なる
- 同じ製品・サービスの検索キーワードも、地域によって異なる
- 同じ意味のキーワードも、地域によって綴りや単語が異なる
検索エンジンのシェア

中国ではBaiduが約7割で推移

ロシアではYANDEXが約4割で推移
出典:https://gs.statcounter.com/search-engine-host-market-share
グローバルサイト構築・リニューアルをご検討の皆様へ
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